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【デイリーニュース】vol.01 第16回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019開幕!

映画祭発の監督の活躍、新時代へ!

オープニング・セレモニーに登壇した国際コンペティション、国内コンペティションの各コンペ部門の監督と審査員の皆さん

 

次世代を担う映像クリエイターの発掘・育成と映画産業の発展を目的に、2004年に始まったSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。第16回を迎えた今年は7月13日(土)に開幕し、オープニング・セレモニーと、オープニング作品『イソップの思うツボ』の上映が行われた。

今回は92の国と地域から短編203作品、長編658作品の応募があり、その中から選ばれた国際コンペティション部門10本、国内コンペティション部門長編5作品、同短編9作品のノミネート先品が上映される。

 

コンペ以外にも企画上映多数

オープニング・セレモニーではまず、第1回から映画祭実行委員会会長を務めてきた上田清司・埼玉県知事が挨拶。「16回目を迎えた本映画祭からは、当初の予想以上に多くのクリエイターが育って嬉しい限りです。『孤狼の血』の白石和彌監督、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督ほか、素晴らしい監督さんがこのSKIPからスタートしています。昨年大ヒットを記録した上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』は、まさにデジタル時代の真骨頂を示した作品。この映画祭がクリエイターを生み出し、世界に羽ばたくチャンスを与えてきたことを誇りに思います」

映画祭実行委員副会長の奥ノ木信夫・川口市長は、「コンペティション上映以外にも、多数の企画上映を用意しています。皆さんにぜひ楽しんでいっていただきたい。今年も川口市をあげて全力で映画祭を盛り上げていきます」と意気込みを語った。

 

八木信忠・映画祭総合プロデューサーは、「映画祭を立ち上げた17年前は、まだデジタルシネマって何? という時代で、デジタル映画はまだ普及しておらず、フィルム作品での応募もあったくらいです。しかし現在、日本でも世界でも作られている映画のほとんどはデジタル。映画祭の名前から“Dシネマ”を外してもいいんじゃないかという意見もありましたが、映画祭にDシネマと名付けたのは我々が最初なので、冠は当分下ろさないことにしました。楽しんでいっていただければ幸いです」と話した。

続いて土川勉・映画祭ディレクターが、コンペティション部門に出品される全作品と、来場ゲスト、各コンペティション部門の審査員を紹介。ステージ上に皆さんと映画祭マスコットのデジたるくんが勢ぞろいして、9日間にわたる映画祭が華やかにスタートした。

 

監督が3人いるのに、もはや一人もいない!?『イソップの思うツボ』

(左から)浅沼直也監督、上田慎一郎監督、 中泉裕矢監督、井桁弘恵、石川瑠華、紅甘、佐伯日菜子、斉藤陽一郎

 

オープニング作品は、昨年『カメラを止めるな!』で日本のみならず世界の映画界に一大旋風を巻き起こした上田慎一郎監督と、同作にスタッフとして参加した浅沼直也監督、中泉裕矢監督による共同監督作『イソップの思うツボ』のワールドプレミア上映。さえない女子大生・美羽、人気“タレント家族”の娘・早織、危ない“代行屋”の娘・小柚の3人が、ある事件をきっかけに出会う。家族、誘拐、裏切り、謀略、復讐――さまざまな要素が絡み合った一筋縄ではいかない怒涛の展開に目が離せない作品だ。

上映に先立って、浅沼、上田、中泉の3監督と、出演の石川瑠華、井桁弘恵、紅甘、佐伯日菜子、斉藤陽一郎が、全員『イソップの思うツボ』Tシャツを着てステージに登場、舞台挨拶を行った。

 

3人の監督の出会いは、それぞれが自身の作品を出品していた本映画祭。浅沼監督は「2012年にこの映画祭で出会って、まさかこういう日が来るとは。中泉さんはとっつきづらかったんですけど(笑)、3人でいろんな企画を一緒にやりながらマブダチになっていきました」と感慨深げ。上田監督は「2015年にオムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』を一緒に撮って、少し仲良くなって、居酒屋で“1本の長編を3人で監督するか”という話になりました」と話す。そのアイデアは2016年に本格始動したものの、肝心の企画が2年たってもなかなか固まらず、中泉監督曰く「ぐるぐる回って1年後にまた同じ話をしていた」のだとか。浅沼監督が「その間、お互いの作品や好きな映画を見せ合ったりして、長い夏休みのようでした」と言えば、上田監督がすかさず「で、8月31日にガッと宿題をやった感じ」とオチをつける。3人のコンビネーションの良さをうかがうことができた。

 

3人の共同監督作業について、上田監督は「基本的には登場する家族ごとに担当をざっくり決めて、家族同士が交わるシーンはその都度話し合って誰が演出の主導権を持つかを決めました。ひとつのシーンを3人で監督することもありました」と言う。

この前代未聞の演出体制の感想を問われた出演陣。

井桁は「初めてのことでしたし、シーンや場面ごとに監督が違うので、わからないことをどなたに相談したらいいのかわからない。どなたに相談するか相談したりして(笑)。でもいろいろなアイデアも出ましたし、議論もできて、楽しく充実した現場でした」と話す。

石川は「あるシーンで、3人の監督の熱がバーッと合わさった時がありました。ものすごい熱量を感じて、いい経験をしたなと思います」。

紅甘は「(あの状況は)よくわからなかったですね。監督が3人いるんですけど、もはや1人もいない、という感じ。それぞれの家族に3監督が、身近な存在としていてくれました」。

佐伯は「3監督というのは初めてでしたが、現場でもっと“俺が俺が”と揉めるかと思ったら、すごくいいチームワークで、撮影も順調でよかったです」(上田監督によれば「撮影日数が9日間しかなかったから、揉めてる余裕がなかった」とのこと)。

斉藤は「ご覧いただければわかりますが、我が強い3人。このお話をいただいた時に大変な現場になるなと思いましたが、当然ものすごく大変でした(笑)。出来上がった作品は乞ご期待、です」。

イソップの思うツボ』は、8月16日(金)から全国で劇場公開される。

 

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019は、7月21日(日)まで9日間にわたって開催され、各コンペティション部門の受賞結果は最終日に発表される。